江戸も後期になりますと、されに工夫がこらされ、主として小麦粉を原料として葛餅以上の味を持つ「くず餅」が製造されるようになり江戸っ子の嗜好に合って好評を博するようになりました。
さて江戸の近郊である川崎とその付近は古来麦の産地として知られており、元禄7年俳聖芭蕉は川崎宿で門弟たちと別れるに際し、「麦の穂をたよりにつかむ別かな」と詠み、弟子たちは「麦畑や出ぬけても、なお麦の中」「刈りこみし麦の匂いや、宿の内」など詠んでいて、当時の情景が偲ばれ、誠にこのあたりは「麦の里」ともいうにふさわしかったのでありましょう。